透明不良ムムリク

読書、映画日記を書き散らかしてます。好きな熟語は短縮営業。

麦の海に沈む果実 / 恩田陸

一日早い転入生。ここは「三月の国」なのに 


 麦の海に沈む果実 (講談社文庫)

麦の海に沈む果実 (講談社文庫)

あらすじ


3月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。2月最後の日に来た理瀬の心は揺らめく。閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生徒たち。生徒を集め交霊会を開く校長。図書館から消えたいわくつきの本。理瀬が迷いこんだ「三月の国」の秘密とは?この世の「不思議」でいっぱいの物語。


(https://www.amazon.co.jp/麦の海に沈む果実-講談社文庫-恩田-陸/dp/4062739275#productDescription_secondary_view_div_1528564213949より引用)



以下、感想書き散らかしてます。

ネタバレしかないです。


実は数年前に数ページ読んで挫折して(というか図書館の期限が来てしまって)そのままになっていたのだけれど、ずっと「読みたいよ〜」「誰かが凄く面白いって言ってたよ〜(誰だっけ?)」というもやもやが心の隅に残っていて、満を持して(というか何というか)読んでみた。

いや〜〜とてもとても面白い。教えてくれた人に感謝したい(思い出せないけど)

外国の児童小説に出てきそうな学園に、ばりばり漢字名の日本人の登場人物たちというアンバランスさがとても素敵。
個人的には5文字以上のカタカナの名前が覚えられない病気なので大変助かる。

舞台設定が雰囲気があって素敵ですよね。作者の方の趣味がぎゅっと詰め込まれてる感じが伝わってきて、楽しいです。

もったりゆったり進む前半と比べて、後半からジェットコースターの如く怒涛のテンポで、最後は特に霧が晴れるようなストーリー展開。
途中まで「これってホラー?ミステリー?」と悩みながら読み進めていたんですが、これはミステリーですね。メフィストだし。
いや、サスペンス?

まま見られる「謎解きは…あ、こ、これ?あ、はい、ふぅん…?ほぉ…?」という煙に巻かれるといったら語弊があるけれど、すっきりタネまで見せてもらえない展開に慣れているので(恩田陸作品じゃないですよ)、
今作のように 「ここはこうで、これをやらかしたのは、こいつなんだよー!」と分かりやすく説明していただけると
素直に「な、なんだってー!」と驚けるので非常に助かります。

校長の「鏡のない宮殿」の話ですが、
主人公のお姫様はもちろん理瀬だと思うんですが、
ラストの王子様が誰かなーと考えたんですが、まあ普通にヨハンですよね。たぶんあの二人結婚するし。
王子の「僕があなたの鏡になります」というセリフから、理瀬とヨハンは大分似てるみたいですね。性格。
ヨハンは天使の顔して中身悪魔。てかお家、マフィアかよ!やば!
理瀬も記憶がないときはおどおどして可愛い天使で、記憶が戻ってからは野心家で冷徹な悪魔。
ということかなぁと。

ちなみに水野理瀬シリーズ(というか恩田陸作品自体)初めてなので、他作品を読み進めていけば解決するかもしれないですが、
とりあえず今の時点で気になる点としては以下


・「理」瀬、憂「理」、麻「理」衣は、なにか関連が?(ただ作品として統一感を持たせるためだけかもしれませんが…)

・「れい」じ、と、「れい」こ。偶然?(これも偶々…?それかラストのように2人は「セット」ということを現したかったのかな?)

・黎二は何故次男じゃないのに「二」が付くのか?(お母さんが放浪娘だったようですが、黎二の前に子供を産んだという描写は無かったような…?)

・噴水から行ける施設はどのような施設なのか?(毎年十数人居なくなる人たちの内の何人かを匿ってる?)

・校長は何故麻理衣に「黒い紅茶」を飲ませていたのか?(生徒を薬漬けにする動機とは?)

・昔の大火事のとき、発見された身元不明の焼死体の正体は?

・昔の姉弟の二月の訪問者って何の為のエピソード?

・理瀬には2人お兄ちゃんがいるのに、その2人は学園に行かなかった(後継者になる通過儀礼を行わなかった)の?(もしかして理瀬とは異父兄弟?=お兄ちゃん2人は校長の子じゃない?)

・功って結局どうなったの?沼?


修司は美しくないけど、確か大きいんでしたっけ?ということはおじいちゃん(理事長)に似てるのかな?

一気に読んじゃったので、理解しきれてないところもあるのかも

リセ、という名前が気になるんですよね。他の登場人物たちは、まあある名前なのに、リセ?えらい珍しい名前だなぁ。
なんか意味ありげ。

名前で言うと、憂理もなんかありそうですよね。憂うって!名前に憂うって、縁起悪っ!

ラストシーンがあっさりしすぎというご意見もあるみたいですが、個人的にはすっきりしてて良いなぁと思いました。ぐずぐずも、ぐだぐだも引き延ばそうとせず、スパッ!といっちゃうので、こっちの方が「もうちょっとページ数割いて良いよ!もっと読みたいよぉー!」と縋りたくなる笑
でも惜しいくらいが丁度良いんでしょうね。

恐らく、読者の方は、黎二派、ヨハン派、聖派に別れるのでしょうが、
個人的には校長がめっちゃ好きです。普通に素敵だしカッコいい。
登場人物の中で一番好きです。

お父さんって知るまで、ドレス贈ってもらったり何なり、ドキドキしました。かっけぇ〜〜。
「手持ちのカードは全部自分の手元にないと嫌」(だっけ?)とか、そんな感じのセリフで、「この人こえ〜やべ〜」という気持ちと「カッコいい〜」という気持ちが交錯して大変でした。
プライドの高いきれいな長髪の男の人って独特のかっこ可愛さがあるよね。好きだ〜
ちなみに脳内イメージはずっと金髪ハウルでした

憂理ちゃんみたいな強気美少女が、校長みたいな中年美形に「スケベ親父」と悪態をつくのは、大変萌えです。可愛い。

ミステリーな本筋からどんどん外れたことを言いますが、若い頃の校長が子種を振りまくため女百人斬りをしていると思うと、とても、ときめきます。
読みたいなぁ。
この人絶対ナルシストだよー可愛いよー
たまに本気でびっくりしてるところが、また可愛い

続編を読むのが楽しみです。